[ 2016/03/05 更新 ]   ☆☆☆ かってに 無線LAN2 ☆☆☆
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        [ http://disco.pobox.ne.jp/wlan/ より ]

●dB とは 

無線 LAN などの高周波では、電力量をあらわす単位として一般的に 
dB (デシベル)が用いられます。
ここでいう dB とは、電力の入出力の比を常用対数で表した単位のことをいい、
入力電流を Pin、出力電流を Pout とすると、その電力比 G (dB) は、

G=10log10(Pout/Pin) …… (1) 
となります。

dBという単位は、B (ベル)の 1/10 (d:デシ)ということです。d は、
小学校の理科で出てくる dl (デシリットル)などの d です。(1) 式では、
対数なので d (デシ)の分、10 倍されています。
ちなみに、無線 LAN の技術屋さんは、dB を「デシベル」と読まずに
「デービー」という人が多いと思います。どちらかというと、
「デービー」の方が技術屋さんには一般的かも知れません。

後述する dBm は「デービーエム」、dBi は「デービーアイ」などと呼ばれています。



●なぜ dB を使うのか 

dB という単位をなぜ使うのかという疑問があると思いますが、結論からいうと、
計算が簡単にでき、かつ人間に直感的に分かる単位系であるからということです。
スピーカなどのアンプを例にして説明してみましょう。

A1というアンプは 2 倍、A2 というアンプは 5 倍、
A3 というアンプは 10 倍の出力があるとします。
このとき、A1、A2、A3 を直列につないで増幅させると、

A1 x A2 x A3 = 2 x 5 x 10 = 100 (倍) …… (2) 
で 100 倍になって出力されます。計算は簡単ですね。では、
A1 が 2.51 倍、A2 が 3.55 倍、A3 が 8.91 倍であったときは、 
A1 x A2 x A3 = 2.51 x 3.55 x 8.91 (倍) …… (3) 
になります。この計算のとき、暗算でできるでしょうか?普通の人ならまず無理かと思います。
しかし、はなから dB を用いていれば、計算を簡単にすることができるのです。


アンプの出力を dB で考えたとします。dB は対数の単位ですから、
(2) 式 や (3) 式の掛け算は足し算で置き換えることができます
(なぜそうなるのかを知りたい人は、高校数学の代数の教科書でも調べてください)。
例えば、(2) 式を dB 単位にすると、
A1 の 2 倍は 3dB、A2 の 5 倍 は 7dB、A3 の 10 倍は 10dB となります。
このとき、(2) 式は

A1 + A2 + A3 = 3 + 7 + 10 = 20 (dB) …… (4) 
となります。同様に (3) 式は、

A1 + A2 + A3 = 4 + 11 + 19 = 34 (dB) …… (5) 
となります。ここでは、わざときれいな dB 値になるように値を選びましたが、
掛け算が足し算になるわけですから、どっちにせよ、計算はすごく楽になるのです。

また、この対数的な数値の増加は、人間の感覚に似ています。
アンプの出力電力が 2 倍になったからといって、
スピーカからの音が 2 倍大きく聞こえるというものではありません。
ボリュームを回してちょびちょび音を大きくするのと、dB の値の増幅加減が同じなのです。




●電力比と dB の関係 

電力比を dB にして表したいとき、いちいち (1) 式に当てはめていたのではものすごく大変です。
しかし、dB にするときは、電力比と dB 値の関係を少しだけ覚えておくだけで、
だいたい dB 表現することができます。あくまでだいたいです。無線の電力量など、
他にいろいろと誤差があるので、だいたいでいいのです。

電力比と dB 値の関係を下の表に示します。

表 1 : 電力比と dB 値の関係 
電力比 (Pout/Pin ) G (dB) 
 1                  0 
 1.6                2
 2                  3 
 3                  4.77 
 4                  6
 5                  6.99
 6                  7.78
 7                  8.45
 8                  9
 9                  9.54
10                 10 
20                 13 
30                 14.77
賢明な方はもうお分かりかと思いますが、電力比が 1 未満の場合は dB が負になるだけです。
上の表でいうと、1/2 は -3(dB)、1/3 は -4.77(dB)、
1/7 は -8.5(dB)、1/10 は -10(dB) という具合です。


先ほど、dB 単位系では掛け算が足し算に…という話をしましたが、このことから、
表 1 の関係が分かっていれば、大体の電力比が暗算で計算できちゃいます。
例えば、電力比が 4 (4 倍)なら、2 倍x 2 倍 
すなわち 3(dB) + 3(dB) で 6(dB) という具合です。
5 (5 倍)なら、10 倍x (1/2) 倍すなわち 10(dB) − 3(dB) で 7(dB) になります。



●dBm は出力を表す単位 

電力比が dB であることはこれで分かっていただけたかと思います。次に、電力比でなく、
電力を dB 単位系で表した dBm について説明します。
とはいっても、別に dB のときと何ら変わりはしません。
単に 1(mW) = 0(dBm) するだけです。
電力比を mW (ミリワット)単位の電力に置き換えただけです。
考えるのがめんどくさい方のために表 1 をこれに置き換えると、以下のようになります。 
表 2 : 電力と dBm 値の関係 

電力 (mW)           G (dBm) 
 1                  0 
 1.6                2
 2                  3 
 3                  4.77 
 4                  6
 5                  6.99
 6                  7.78
 7                  8.45
 8                  9
 9                  9.54
10                 10 
20                 13 
30                 14.77
非常に単純明快です。比率ではなく電力の単位ですから、
アクセスポイントなどの電波の強さは、この dBm を使って表現されます。
アクセスポイントのデータシートには、
「送信電力 :30mW (15dBm)」とかそんな感じで書かれているはずです。

また、データシートには「受信感度:△ Mbps時 - ○ dBm」とか書かれているかも知れません。
これは、「△Mbps で通信しているとき、- ○ dBm ですよ」ということです。
そのまますぎて説明になっていませんが。例えば、-10dBm となっていた場合、
「0.1mW まで感知しますよ」ということです。


●dBi はアンテナ利得 

アクセスポイントや無線 LAN カードの仕様のところに、
アンテナ利得というのが書いてあると思います。
このアンテナ利得の単位には dBi というのが使われています。
dBi というアンテナ利得の単位は、
電波を全ての方向に同一強度で放射する指向性が
球状の理論的な仮想アンテナである
アイソトロピックアンテナ(Isotropic Antenna :完全無指向性アンテナ)を
基準にして得られる「絶対利得」という数値に付けられる単位です。
つまり、アイソトロピックアンテナを 0dBi とする単位のことです。
指向性が強くなるにつれ、アンテナ利得が増します。

これと似たようなものに、dBd というのがあります。
これは、アイソトロピックアンテナの代わりに
半波長ダイポールアンテナを基準にして得られる
「相対利得」という数値に付けられる単位です。
0dBd = 2.14dBi という関係がありますが、
dBd の方はほとんど使われませんので、忘れてもいいでしょう。



●伝搬方程式 

無線 LAN の通信システムを設計するには、送信側のアンテナから送信される電力に対し、
受信側のアンテナで受信する電力がどれほどのものかを考えなければなりません。
むずかしい理論がごちゃごちゃとあるわけですが、
結論として、その関係を方程式で表すと、以下のようになります。
Pr:受信電力 (dBm)、Pt:送信電力 (dBm)、Lp:伝搬損失 (dB)、
Gt:送信アンテナ利得 (dBi)、Gr:受信アンテナ利得 (dBi) とします。


Pr = Pt − Lp + Gt + Gr …… (6) 
(6) 式は、各項の単位が全て dB 単位系ですから混ぜて計算できるので、
足し算と引き算だけで Pr を求めることができます。誰でもできるくらい簡単です。
 ここで、伝搬損失 Lp について説明しましょう。
電波は、自由空間(周りに電波の進行を妨げるものが無い空間)で距離の二乗に比例して減衰し、
かつ電波の波長の二乗に反比例するという特性を持ちます。自由空間での伝搬損失 L を式に表すと、

L = 10log10(4πd/λ)2 − (10log10Gt + 10log10Gr) …… (7) 
になります。いちいちアンテナ利得を考慮するのは邪魔くさいので、
簡単のために利得 0dBi のアイソトロピックアンテナで考えると、(7) 式は、 
LB = 10log10(4πd/λ)2 = 20log10(4πd/λ) = 20log10(4πdf/3x108) …… (8) 
とすることができます。ここで、LB は自由空間基本伝搬損失、f を周波数 (Hz) とします。

(6) 式の伝搬方程式では、単純に Lp = LB とすればいいと思うのですが、
そうはいかないようです。実際の地球上では、見通しで何もなくてもかなり電波が減衰するようで、
伝搬損失 Lp は近似式 Lo で表現するのがいいとかいわれています。
しかしながら、Lo は使用する周波数帯や
環境によって違ってきますので、一概にはいえません。

無線 LAN ネットワークシステムの構築などでは、
まぁそれほど厳密でなくてもいいと思いますので、
とりあえずここは (6) 式を自由空間基本伝搬損失 LB を用いて 
Pr = Pt − Lo + Gt + Gr …… (9) 
と伝搬方程式を表すことにしましょう。

(9) 式をもとにして Pr を求める例をあげます。
送信電力 Pt を 10dBm、送信アンテナ利得 Gr と
受信アンテナ利得 Gr をともに 2.14dBi とします。
このとき、送信側のアクセスポイントから受信側のクライアントまでの
自由空間基本伝搬損失 LB が 74dBm だったとします。

このとき、(9) 式から受信電力を計算すると、 
Pr = 10 − 74 + 2.14 + 2.14 ≒ -60 (dBm) 
アホみたいな計算です。

-60dBm という値が受信側のクライアントの最低受信電力に達しているか確認し、
足りてるようであれば受信できるということです。

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